第2章 一日目 ☞ 昼
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旅館の中の広場には既に私達と館主以外に、9名がテーブルを囲んで座っていた。
私達が扉を開ける音が聞こえると全員がこちらを凝視してくる。
??「だ、誰だ?!」
30台後半の男性が大声を出し立ち上がった。
館主「心配しないで下され、このお方達は探偵でございまする。私達の依頼を聞きつけてこちらへ来てくれました。」
??「...そうか!すまなかった!」
探偵「大丈夫です」
館主「ご無礼を申し訳ありませぬ、ここ数日間皆様色々なことがありまして、疑心暗鬼に陥ってまして...」
探偵「いえいえ、こんな場を今までも見てきましたから」
そう、仕事の経験上こういった目を向けられるのは慣れている。
探偵「さっそくなんですがー...」
全員が僕を見た。
探偵「人狼を探すにあたって情報が欲しいので自己紹介しませんか?僕は探偵のルクルトと言います。彼女は助手のミカーナです。」
身振り手振りを加えて自己紹介をすると、先程の男性が立ち上がった。
調達「俺はここの旅館に食材なんかを調達しているジェフだ。ここに留まってる間に事件に巻き込まれちまった。全く溜まったもんじゃねえよ」
探偵「ありがとうございます。皆さんもお願いします」
するといかにも気高い髪型をした気品のある50代後半といった男性が立ち上がった。
公爵「私はダニエルと申します。家族とここあたりに旅行に来たのです。彼女は夫人のサーシャ、そして息子のグレイです」
夫人「私達はここに観光に来ただけですの。探偵さんに早く人狼を探してもらって、解放してもらいたいものですわ、ね、グレイ?」
息子「......う、うん」
息子は内気な性格と見て取れた。
家族が座ると、一組の男女が勢い良く立ち上がる。
彼氏「俺達も一緒だ!とっととこんな所から抜け出したいぜ!」
彼女「そうよ!人狼に食われるなんて、まっぴらなんだから!」
金髪のチャラチャラした印象の男女は、この状況にかなり精神が参っている様子だ。
それもそうだ、今この中に確実に人を食らう悪魔が潜んでいるのだからー。