第3章 入部
一時間目は国語。
国語は、まだ得意な方だ。
先「春霞、季節越し咲く桜花
重ねて重ねて、月と光らん…」
先生は今短歌を読んでいる。
短歌なんて、知ったところで昔と現在じゃ文字も漢字も殆んど違う。
それに、今時短歌を知ってもなんの意味もないと思うんだけど…
十邪「なぁ、ここってどういう意味?」
由女『あぁ、ここはね…』
得意な分、少しくらい教えられる。
十邪「なぁ、この短歌の意味って、なんなの?」
由女『え?あ、えっとね、
一年の時を経てやっと咲く桜の花。そうして時を重ね咲き続けていれば、いつか月のように永遠に輝き続けるっていう意味』
十邪「お前、良く知ってんな。」
由女『まぁね。』
十邪「誰から教わったんだ?」
由女『…小さい頃、お父さんに。』