第9章 十邪の気持ち
由女『そんな事ないよ!』
気づけば自分でもびっくりする程の大声を挙げていた。
由女『確かに、十邪は口悪いし、女好きだし、意地悪だけど…!』
十邪「お前なぁ…」
私の発言に少し顔を引きつらせる十邪。
由女『だけど、十邪は女に縋ってなんかないよ! だって、女の子と一緒にいる時の十邪の顔、凄く優しい顔してた。』
十邪「っ…」
十邪は一瞬目を丸くして驚いていたけど、すぐに苦しそうな顔になった。
十邪「ちげぇよ…俺は…」
由女『十邪がそう思っていたとしても、私は十邪は優しい人だと思ってる。』
十邪「優しいって…何でそんな事が分かるんだ?」
由女『え…』
十邪の目つきが分かった事に気づいた私は、何故か背筋が寒くなるのを感じた。
由女『十邪は…優しいよ…?』
十邪「じゃあ、こんな事しても優しいって言えるのか?」
由女『え? ……っ!』
気づいた時には、私の目の前は真っ暗だった。
そして何故か、唇に柔らかく、暖かい感触があった。