第9章 十邪の気持ち
次の日、俺は彼女に問いただした。
そしたら、あっさり二股を認めた。だけど、本命は俺ではなく、昨日一緒に居た男らしい。俺には只の好意で近づいただと。
それと同時に見られていた事に腹を立てたのか、逆ギレまでされてしまった。
言葉を失った。彼女の口からは次々と暴言が吐かれた。
俺が見てきた姿とはまるで別人だった。俺の前では常に猫を被って、裏ではそうとうだったらしい。
それを知った時は気が狂いそうだった。
今まで信じてきたあの笑顔は、偽物だった。
笑顔だけじゃない。何もかも、全部が偽物だったんだ。
俺は只、この女に手のひらで良いように転がされていただけだったんだ。