第7章 暖かい
ー輝sideー
やばい、やばい、やばい…!!
さっき俺は由女を抱き締めた。由女は、びっくりしていたけど、俺もびっくりした。体が勝手に動いちまったんだよ…!
恥ずかしくなった俺は顔を上げようとした由女の頭を手で自分の胸に押さえつけた。
今絶対俺の顔は赤いはずだから。
いきなり胸に押さえつけられたから苦しかったんだろう。一瞬、『うっ…』といううめき声が聞こえたから、やばっ!と思い、力を緩めた。
俺は、こっちを見るなと伝えると由女はクスッと笑った後、俺の胸に顔を埋めた。
『輝の匂い…好き…』
いきなりの“好き”という言葉に反応してしまった俺。
由女からしたら別に大した意味ではないんだろうけど、俺にとったらスゴく嬉しい言葉だ。
でも、これが俺にたいしてではなく、“匂い”にたいして言った事に俺の胸が痛んだ。
でも、隙間から見える由女の顔を見てると何だか今はそんな事どうでもよく思えてきて、そのまま俺は眠りについた。