第15章 別れた後はまた会いましょう
雷十太は言った
自分は由太郎君を弟子にした覚えはないと
真古流を興すには多額の資金が必要で、そのために利用したにすぎない、と
『……ふざけるな、この外道』
私はあふれそうになる涙をこらえ、雷十太をにらむ
許さない……
この男は絶対に……!
『あなたみたいに強くなりたいって言って、あなたを慕っていた由太郎君の心を弄ぶなんて、許さない……!!』
「待て、真愛殿!」
緋村さんに肩を掴まれた
悔しくて悔しくて、私はいくつもの涙をこぼした
優しく私の頭を撫でる緋村さん
そして、雷十太に向かって言った
「一刻程、そこで待ってろ。
貴様には生き地獄を味わわせてやる」
* * * * *
小国診療所に行き、治療を行った
恵さんいわく
命に別状はないけれど、神経と筋が切断されていて、剣を握ることは二度とできないらしい
『……うそ』
幸か不幸かはわからないが、緋村さんの右腕にかすったおかげで、
威力が削がれて由太郎君の右腕ごと切断とまではいかなかったみたいで
でも、それでも剣術ができないということにはかわりないことで
「冗談じゃねェぞ!!」
そう叫んだのは弥彦君だった
「あいつは剣術に懸けているんだ!才能もあるんだ!それなのになんでそーなるんだよ!!」
彼はいつも由太郎君と稽古をしていた
だからわかるんだ
彼がどれだけ剣術が好きで、上達していたかを
弥彦君は歯を噛みしめ、そして飛び出した
緋村さんもまた、雷十太のもとへと行ってしまった
私と薫さんは、由太郎君のそばにいることにした
眠っている由太郎君の右腕には包帯が巻かれていて
それがとても痛々しかった