第15章 別れた後はまた会いましょう
こうなってしまったのは、全部私のせいかもしれない
『……ごめんなさい』
白いシーツにシミができた
いくつもいくつもできた
『あの時、私が由太郎君をちゃんと見ていれば…こんなことにならなかったのに……。私のせいで、由太郎君、剣、にぎれなっ……』
言葉にすれば、罪悪感が押し寄せてきた
「自分を責めないで。誰のせいでもないわ」
優しい温もりが私を包んだ
薫さんが私を抱きしめていた
それがあまりにも温かすぎて、涙を止めることができなかった
しばらくすると、由太郎君は目を覚まし
そして、自分の右腕が動かないことと、雷十太に裏切られた絶望感に涙を流していた
その涙に、私の心は抉れた気がした
あれから数日
由太郎君は退院し、屋敷の方に戻った
緋村さんたちは、暇があれば彼のお見舞いに行っていた
私は、顔を合わせづらくて行っていない
逃げているだけなんだ、私は
「ただいまでござるよ」
この日も由太郎君のお見舞いに行っていた緋村さん達
私は彼らにお茶を渡した
縁側で静かな時間を過ごしていたとき、薫さんが私の顔を見て
「ねぇ、真愛。由太郎君のことなんだけど……」
『うん……』
「一週間後にドイツに行くんですって」
『……え?』
「ドイツは医学が進んでいるから、そこに行って治療に専念するって言っていたわ。真愛、お見送りに行きましょう」
そっか……
由太郎君、ドイツに行っちゃうんだ
何も言わずにお別れするのは心苦しい
顔、合わせづらいけど、そんなこと言ってられない
逃げたくない
『うん、行くよ。由太郎君の見送り』