第15章 別れた後はまた会いましょう
屋敷へ帰る途中、馬車ごと兇賊に襲われた時
助けてくれたのが雷十太だったようだ
「あの雷十太が人助けねェ。なんか嘘みたいな話だな」
そういう左之助さんの腕をつねった
睨んできたが、知らないフリをした
由太郎君は緋村さんに言った
雷十太と闘う時は、正々堂々と真っ向勝負をしてほしい、と
しかし、彼のその望みは叶わなかった
なぜなら、雷十太が私たちの背後から襲ってきたのだから
私はとっさに由太郎君を抱え、道の脇に避難する
『由太郎君、怪我はない?』
「……」
彼は何も答えない
目を見開き、雷十太を見つめる
驚きを隠せないその表情に、私も何も言えなくなる
そうだよね
真っ向勝負してほしいって思ってたのに、不意打ちでこういうことしてきたんだから
それが自分の尊敬する人ならなおさら信じられないよね
この瞬間、緋村さんと雷十太の闘いが始まった
闘いは緋村さんの優勢のようにみえた
しかし、雷十太が放った一撃は、緋村さんの右肩をかすめ
そして、彼の後ろにいた由太郎君の右腕に直撃した
さっきまで私の隣にいたはずなのに
いつの間にそんなところにいたの!?
でも、今はそんなこと気にしている暇はない
早く医者に連れて行かないと
「放っておけ。急所に当たらなければ死ぬことはない」
信じられない言葉だった
自分の弟子を斬っておきながら、そんなことを言う雷十太に腹が立った
この子がどれだけあんたのことを慕っていたか知らないはずがないのに