第2章 はじまりの物語
「140年後!?」
『はい……』
「どうやって来たのよ?」
どうやって……
それは私にもわからない
死んだらここにいた
なんて、言えるはずもないけど
やっぱり全部知っていたほうが、いいのかな
そして、私は事の成り行きをすべて話した
聞き終わった後、薫さんは私を抱きしめてくれた
びくりと肩が震えた
そんな私をまるであやすかのように、優しい温もりで包み込んでくれた
『あ、あの……』
「なに?」
『いや……なんでもないです』
彼女の温もりに私は何も言えなくなった
こんな風に人の温かさを感じたことはなかった
人ってこんなに温かい生き物なんだ
『私の話、信じてくれるんですか?こんな、ありえない話』
「何言ってんのよ!信じるに決まってるじゃない!ねぇ、剣心」
「薫殿の言う通りでござるよ。拙者も真愛殿が嘘を言っているようには見えなかったでござる」
なんて優しい人たちなんだろう
見ず知らずの私の話を信じてくれた
私は、深く頭を下げた
「そういえば、自己紹介をしていなかったでござる。拙者は緋村剣心。流浪人でござるよ」
『あ……、椎名真愛、です』
「行くところないでしょ?だったらここにいていいわよ。一人増えるくらい、どうってことないから」
胸をはる薫さん
頼もしい人だな
「それより、真愛殿。一つ聞きたいことがあるのだが」
『……なんですか?』
「真愛殿のいたその“へいせい”は、平和でござるか?」