第2章 はじまりの物語
『あの、私……この世界の人間じゃないんです』
制服の裾をギュッと握りしめる
掌に汗がにじむ
「どういうことでござるか?」
『平成っていう時代の人間です』
「へいせい?明治じゃなくて?」
薫さんの一言でここが明治なんだと初めて知る
「詳しく説明して」
話すことが苦手だ
説明することも苦手だ
人付き合いも苦手だ
そんな私が、彼らに何を説明すればいい?
まして、自分も現状を理解していない事柄を
制服の裾を握りしめたままの私はうつむく
すると、優しい声が降り注いだ
「話したくないことでござるか?」
『……え?』
「もし、そうなのであれば、無理には聞かないでござるよ」
その言葉に私は首を横に振った
違う、違うんだ
別に話したくないわけではない
・・・・・・一部を抜かしての話だけど
私は口を開いた
『信じて、もらえないかもしれないんですけど……、私は今から140年後の日本から、来ました』