第8章 自傷の傷と心の傷
私はこの日、薫さんの稽古を休みある場所で買い物をしていた
そのある場所というのは、鍛冶屋
と言っても、真剣ではなく木刀
『……すいません』
「お!嬢ちゃん来たか!!」
以前、私はここにきて、短剣を発注していた
やっぱり体術だけだと限界感じていたし
短剣の稽古もしたいと思っていたから
「これでいいかい?」
『はい。ありがとうございます』
短剣を受け取り、お金を払う
腰にそれを差し、店を出る
廃刀令違反ではないだろうと思うけど、大丈夫だよね?
短剣を手にしたことで、少しウキウキ気分で帰り道を歩く
すると、走ってきた女性とぶつかってしまった
どちらも地面にしりもちをつく
『ご、ごめんなさい』
「大丈夫よ。それより……」
何かを確認するかのように後ろを見る彼女
すると、その後ろから男二人が真剣を持って追いかけていた
えっと……追われてるっていうことでいいのかな
「もう追いついてきた……!」
舌打ちをする女性
私は彼女を無理やり、近くの料亭の中に行かせた
「おいお前!今、女をかくまったな」
「そこをどけ!余計な怪我をしたくなければな」
じりじりと歩み寄る二人
私は、先ほど買った木刀を手にする
事情はよくわからないけど、女性一人に対して真剣を持って追いかけてくるなんて許せない
しかも大の大人の男が二人
飛びかかってくる二人
私は攻撃を避け、一人に面打ちをする
その場に倒れる男
思ったより、強くなくて安心
「この女……!」
もう一人の男もまた、真剣で飛び込んでくる
私は、真剣を避け、回し蹴りを男の顔面に喰らわせる
軽く息を吐き、道の邪魔にならないように二人を端に寄せ
女性のところに行こうと料亭の中に入ろうとしたところで足が止まった
料亭からは、先ほどの女性と共に緋村さんと相楽さんも出てきた
『え?え?』
「あれ、こいつら伸びてんじゃねーか。お前がやったのか?」
うなづけば、相楽さんは“すげえな”と言って私の頭を撫でた
子ども扱いされてるみたいで腹が立った
『……二人はなんで』
「実は賭場をしていたら―――…」
『と、賭場?』
緋村さんも賭場なんてやるんだ
相楽さんならともかく