第7章 隠した本音
三人縁側に座り、二人の帰りを待つ
日付が次の日を告げても、帰ってくる様子はない
でも、私たちはただただ待ち続けた
しばらくすれば、弥彦君はこくんこくんと舟をこぎ始めた
「やっぱガキだな」
“しゃあねえ”と言って立ち上がり、彼は毛布を持ってきて弥彦君にかけてあげた
意外と優しい一面を持っているんだと知って、私はくすりと笑った
「何笑ってんだよ」
『優しんだなって思って……』
「俺はいつだって優しいぜ」
『ふふ。そうですね』
「おい、思ってねェだろ」
張りつめていた気持ちが少し和らいだ気がする
相楽さんと二人、談笑しながら待ち続けた
夜が明け、空が明るくなり始めた頃、二人は帰ってきた
緋村さんは少し怪我をしているものの、無事でよかった
溢れ出しそうになる涙を見られたくなくて、私は自分の部屋に戻る
なぜ、涙が出るのかわからない
無事な姿を見て安心したのか、それともまた別の何かなのか
『……あ』
私は緋村さんが怪我をしていることを思い出し、救急箱をもって再び外へ出た
楽しそうに話をしている4人の姿がそこにあって
………だめだ
あの中には入っていけない
私は気づかれないように、部屋へとまた戻った
悪い癖が出てしまった
いつもいつもそうだ
18年間そうやって生きてきたから、簡単には治りはしない
昔も今も私は周りの人たちと一緒にいてもどこか壁を感じていた
自分が勝手に作った壁はそう簡単には崩せなくて、自ら飛び越えることもできなくて
その先へ行きたいと思いながらも、向こうの景色に怯えていた
だって、私と周りの人たちは違って、その中に入る勇気なんて私には持ち合わせていないから