第2章 はじまりの物語
ガヤガヤ
ワイワイ
人の声が聞こえる
誰かが私の体を揺さぶる
ゆっくりと目を開く
そこには知らない世界が広がっていた
周りの人は袴や着物
歴史の教科書に載ってそうな光景
「あなた大丈夫?こんなところで寝ていたら危ないわよ」
声のするほうに顔を向ければ
黒髪でポニーテールの女性がいた
『………ここは?』
「ここは東京の下町よ。それより、どうしてこんなところで寝ていたのよ?」
どういうこと?
私は確かに自殺をしたはずなのに
どうして生きているの?
というより、ここは何時代?
平成じゃないってことだけはわかる
何も答えない私をみて呆れたのか、彼女は私の手を引っ張り歩き出した
『あ、あの……』
「私は神谷薫。神谷道場の師範代よ。あなたの名前は?」
『椎名真愛……です』
「よろしくね」
にこりと笑う薫さん
こういう時、私も“よろしく”っていえばいいのかな
よく、わからない