第7章 隠した本音
「そう落ち込むなって」
「そうだぜ。嬢ちゃん、今少し混乱してるだけで、あんたのこと大事に思ってるはずだからよ」
慰めてくれる男性2人
いつもは余計なことばかり言って気を遣わないくせに、こういう時だけ優しい言葉で気を遣ってくれる
『ありがとう。大丈夫だよ。それより、薫さんを連れ戻してくるね』
私は着物から制服へと着替えた
そっちの方が動きやすいし
「あいつ、自分の気持ちに気づいてねェよな」
「仕方ねえよ。真愛の過去を考えたら」
「その過去ってなんだよ。俺だけ知らねーんだけど。弥彦、教えろ」
「痛てててて!頭つかむな!!」
そんなやり取りがされていたなんて私は知らない
走って走って走りまくった
人の視線が刺さったけど、そんなのを気にしている余裕はない
河原のあたりを走って、そして見つけた
赤い髪の男性が丸太に座っていてその隣には黒髪の女性が座っていた
緋村さんと薫さんだ
私は、そのまま立ち去ろうと思った
邪魔しちゃいけない
そう思っているのに、体が動かない
いや、動けなかった
ただただ二人の姿を眺めていた
胸が痛い、というより切なくなる
この感情は何?
もしかして嫉妬?
でも、なんで嫉妬なんかしてるの?
自分の感情が自分でもわからない
これ以上、2人を見ているのはつらくて私はその場を離れた
溢れ出しそうになるこの気持ちに私は無理やり蓋をして、見なかったことにした
知らないフリをした
そっちの方がすごく楽だから……