第7章 隠した本音
署長さんが言うには
銃を抜く前に全員真っ先に斬られてしまったようで
一命を取り留めた人の話によると、金縛りの様に体が突然動かなくなるとのことらしい
「二階堂平方“心の一方”か」
緋村さんは金縛りの正体をそう言った
「その男、大方人を斬り続ける余り、本来の目的も意味も失ってしまい、血の色と匂いだけに心奪われてしまったのでござろうな。明治十年を過ぎたのに、まだその様な者がいようとは…」
お茶を啜る緋村さん
私たちは何も言えなくなる
彼は今、どういう気持ちなのだろう
「その話、引き受けるでござるよ」
「ほんとうですか!?」
「ああ。そいつを野放しにしておくわけにはいかないでござる」
「ありがとうございます。それとですな、そちらの御嬢さんにも協力をお願いしたい」
『え……?』
署長さんは私を見てそういう
私もその護衛に参加しろってこと
それは……
「真愛殿を危険な目に遭わせるわけにはいかないでござる。助太刀を必要とするなら左之を連れて行くでござるよ」
「おう。俺は別にかまわねえぜ」
「決まりでござるな」
にこり、と笑う緋村さん
「では、時間になりましたらお迎えに参ります」
署長さんは頭を下げて帰って行った
少し沈黙が続く
それを破ったのは、私だ
『あ、の……』
みんなの視線が集まる
私は少し目を泳がせた後、緋村さんと相楽さんを見て言った
『気を付けてくださいね』
その言葉に二人は笑ってうなづいた
『お風呂を焚いて待っていますから』
「お、そりゃいいね」
無邪気な笑顔を向ける相楽さん
そして数時間後、彼らは行ってしまった