第3章 おでかけ
「なかなか呑み込みが早いのね。なにかやってた?」
『あ……、短剣術と体術をやってる』
「やっぱり!なんか体のつくりがしっかりしてるなって思ったの」
その言葉が照れくさくて、下を向いた
たぶん、今私顔赤い
こんなに褒められたことないから
こっちの世界に来て私は、変わり始めてるって思う
こんなに人と話すどころか、触れ合うってことをしなかったから
『あの、ありがとう』
「気にしないで。いつでも稽古つけてあげるからね!」
『うん』
「汗かいたでしょ?お風呂焚いてあるから、先に入っていいわよ」
その言葉に甘え、私はお風呂に入る
熱い湯に浸かり、汗を流す
お風呂から上がれば、ちょうど緋村さんが夕食の準備をしている最中だった
私は、台所に立ち手伝う
どうやらお味噌汁を作っている最中らしい
私は味噌を取り出し、お湯の中に溶かす
緋村さんは、こっちをみて微笑んでくれている
なんか、恥ずかしくて気が付かないふりをした
二人で支度をしたおかげで夕食が早く出来上がった
「ありがとう。助かったでござるよ」
にこりと笑う緋村さん
私もぎこちなくではあるが、にこりと笑った
すると、彼は驚いたような顔をした
「笑った顔初めてみたでござるよ」
顔が赤くなるのがわかる
笑うなんて久しぶりすぎて、こういう風に言われたら
なんて返せばいいのかわからない
私は、緋村さんからできるだけ離れたくて、速足で逃げる
しかし、緋村さんはからかうように追いかけてくる
「もっと笑うでござるよ。そっちのほうが拙者は好きでござる」
『……っ』
「照れなくてもいいでござるよ」
『うる、さい!』