第14章 初めてのお仕事
「ったく、阿保すぎて本題を忘れるところだった…。
お前ェに任務だクソガキ」
あー任務ね、ハイハイ。
『今日は何ですか?またお菓子の買い出しですか?それとも煙管の葉?』
私の場合任務とは名ばかりで、大体が高杉さんのパシリだ。(と言うか、全部パシリだ)
「今日は初任務だ。俺の護衛な」
あーハイハイ、初ね、護衛ね。
……
…って、
『護衛ィイイ⁉︎』
わたしが素っ頓狂な声を上げれば、高杉さんは面白そうに笑う。
「と言っても今回は簡単な任務だからお前ェは俺の側にいればいい。
……怖ェのか?」
いや、怖くないって言ったらそれは嘘になる。
護衛って事は命だってかかってくるはず。
ん?
紅桜の時はあんなに血気盛んだったってか?
それは、一人一人の行動を知っていたからであって、普段あまり取り上げられない鬼兵隊の日常なんて知らんっ!!
なんたって私はチキンだぞ⁉︎
一歩踏み出す方向を間違えてズドンなんて嫌だかんね!!
あ、なんか泣けてきた。
でも折角高杉さんが私を認めて任務を与えてくれたんだ。うん。多分。
あれ、自信なくなってきた。
…だよね?
チラリと上目遣いに高杉さんを見れば、
ニヤリ。
うわぁー、この人私のビビリっぷり見て楽しんでやがるわー。えげつないわー。
「ククッ、どうする?止めるか?」
こーなりゃ乗り掛かった船だコノヤロー!
女は度胸!ハイ復唱!!
『女は度胸ゥウ!!
やります、やらせてください!
この新 チサ!全力で高杉さんを御守りすることを誓いますぅウ!!』
あー、もう後戻りはできない。
お母サマお父サマ先立つ不孝をお許し下さい。
(涙目で)高らかに任務宣誓を唱えれば、高杉さんは満足気に口角を上げた。
「お前ェに守ってもらはなくても俺は平気だがな。まぁ期待しといてやるよ。
時間になったら呼んでやるから、それまでせいぜい死なないように訓練でもしてろや」
はぁ、行ってもうた。
手をひらひらと振って去っていく高杉さん。
「…平気スか?」
魂の抜け殻のようにポカンとしている私にまた子ちゃんが心配そうに声を掛ける。
そんなまた子ちゃんに私はゆっくりと顔を向け、
『訓練手伝って(涙)』
「もちろんっス!スパルタで行くから覚悟するっスよ?」
こうして、任務までの大半の時間を訓練に費やす事となった。