第13章 ツンとデレは使い分けが大事
訓練場を出て俺達は今食堂にて朝飯を食べている。
隣に座っているチサはというと、
凄まじい勢いで飯を平らげていた。
『宮本さん、全然残ってるけどもーさげちゃうの?』
ガキの目の前に座る隊士の一人が席を立つ度に敏感に反応する。
「いやー、昨日の艦隊爆破から復興作業してって…結構しんどくて食欲も湧かないってゆーか『じゃーコレ貰っていいよね⁉︎』
返答も聞かずにヒョイヒョイと目の前の盆から御菜を摘んで行くと、あっという間に残り物はガキの腹の中へと消えた。
「チサ、アンタ今日何杯もご飯おかわりしてるじゃないスか。まだ食べるんスか?」
始めはガキの食べっぷりに驚いていた来島も、いつの間にかその表情は呆れ顔になっている。
「ホント今日はよく食べるなぁ」
「そんなに食べて成長期かい?」
側にいる隊士たちは口々に言う。
『いっぱい食べて強くならなきゃいけないからね…』
俯き、ポツリと呟いたガキの表情が一瞬だけ曇ったかと思えば、すぐに顔を上げパッと笑顔になって、
『それにさっき高杉さんにマッチョになれって言われたしー』
ブフッ
脳裏に先程のムキムキのコイツの姿が浮かぶ。
それを思い出し思わず吹き出しそうになるのを全力で堪える。
「オイ、テメェ…思い出させんなっつたろ」
辺りは笑いに包まれる。
だが、時折見せる暗い表情を見ればコイツが無理をしている事ぐらいわかる。
周りには悟られないようにしているようで、皆ガキがすっかり立ち直り元気になったように錯覚しているようだが。
俺は周りに笑顔を振りまいているガキの頭にポンと手を置く。
ガキは俺を見上げ不思議そうに首をかしげる。
「これ以上デブんじゃねーぞ」
『なっ……!デブじゃないもん!デブらないもんー!』
「ハッ…どうだか」
まぁ、別に太ってるとは思わねェがな。
抗議の喚きをあげているガキに構うことなく俺は食器を下げ食堂を後にする。
……アイツゎ何を無理しているのか。