第2章 日常へのサヨナラ、非日常コンニチワ
私はじろりと敵を睨みつける
『折れたじゃねぇかァア!お気に入りだったんだぞ!!
どおしてくれる⁉︎』
私は弓を折った憎っいヤツに向かって走りだし、蹴り飛ばしていた。
え?
信じられないぐらい敵は遠くにまでふっとび、持っていた刀が私の前に落ちた。
「こ、コイツッ」
違う敵が向かってくる。
今は怖いとか行ってる場合じゃない!
私は刀を拾い敵の刀を受け止めた。
刀の使い方なんか知らない。
剣道部の友達すらいたことがない。
刀なんて漫画とかでしか拝んだことがない。
私はがむしゃらに刀を振り回す。
敵が呻いてうずくまる。
私すげぇぇぇ!!
走ればコケる。
ボールを持てばあらぬ方向に飛んでいく。
体育の成績は2か3しか取れたことがない。
弓道以外に能がないほど運動音痴の私がこんなに動けるなんて、
この世界は空気抵抗が少ないのかしら?
そんなバカなコトを考えながら調子づいた私は
ゲームや漫画の見様見真似で敵を切っていく。
もちろん私は相手を殺さない程度に。
「よォ」
数人を切り終えると高杉サマが面白そうな妖しい笑みを浮かべて私の後ろにつく。
「お前ェ、案外やるじゃねーの」
お褒めの言葉。
なんて嬉しい。
発狂しそうだったが、ここですると命が危ないので自重した。
『生憎、ゲームは得意なんで!』
私がイタズラっぽく笑うと、高杉さんもフンと鼻を鳴らしニヤリと笑う。
ぁあ、鼻血出る。
敵は残すところあと三人となった。
「これで締めーだ」
『終わりです!』
高杉サマは敵二人、私は敵一人に向かって切りかかる。
無事終わった。
私はハァハァと息を切らすが、
高杉サマはさすが息切れの一つもない。
高杉サマが私の方に近づく。
「お前ェ見ねぇナリしてるが、何者だ?」
私?私は……
途端に力が抜けたように私は地面に倒れこんだ。
高杉サマの驚く顔が見える。
『私、私は…』
『新 チサです』
そして私は眠りに落ちた。