第12章 紅い桜の木の下で
カキン
また子ちゃんの撃った玉は私が射った矢により弾道を逸らされ床を撃ち抜く。
「⁉︎コラ!チサ!!何してるスかァアア!!」
皆を背に神楽ちゃんの前へと飛び降りる。
私の登場に驚き名前を呼ぼうとした神楽ちゃんの口を抑え、人差し指を立て口の前に当てる。
『ごめんね、後で説明するからちょっと合わせて』
周りに聞こえないよう小声で耳打ちし、皆の方へ向き直る。
『目的も分からないうちは殺しちゃダメだよ!
私が捕まえるから皆はもういいよ!!』
ぐいっと神楽ちゃんの手を掴み羽交い締めにする。
「くそォオオ!離すアル!!」
見た目物凄い抵抗を見せているが、神楽ちゃんが力を抑えてくれているおかげで実際そんなでもないが、流石の演技力に皆騙されているようだ。
「まったく甘いんスから…
じゃあ逃げられないようしっかりと捕まえておくんスよ!」
そう言い再び警備の配置に戻りに歩き出すまた子ちゃんを筆頭に他の隊士さん達もぞろぞろと引き上げていく。
『…こっち来て』
私は神楽ちゃんの手を掴んだまま倉庫へと連れて行く。
『ごめんね、神楽ちゃん』
「チサ…鬼兵隊だったアルか…」
私は今捕虜として捕まえた神楽ちゃんを不本意ながらも拘束している最中だ。
神楽ちゃんはこの世界で出来た二人目の女友達。
そんな大切な友達にこんな事したくなんかないが、私が鬼兵隊の一員である為には仕方がない。
『ごめん』
申し訳なさに神楽ちゃんの顔を見れず俯く私に、
パァンン!
神楽ちゃんの平手が飛んだ。
「チサが鬼兵隊なのは確かにビックリしたヨ…。でもチサは他の奴らと違うと思うネ!だから私はチサを信じるヨ!」
『神楽ちゃん…』
未だヒリヒリと痛む頬を撫でる。(てか、この痛み引くのか)
「それで許してやるネ!」
イタズラっぽく笑う神楽ちゃんに私も思わずつられて笑ってしまう。
『じゃあ私もう行くけど、もしムカついても人に向かって担吐いたりしちゃダメだよ!』
「大丈夫ヨ!レディーはそんなはしたない事しないアル!」
私に向かってピースサインを作り、ニッと笑う神楽ちゃん。
まぁ、するんだろうけど。
『これから手荒な事されると思うけど、桂さんも銀さんもきっとみんな無事だから、私が守るから』
絶対皆守ってみせるよ。