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隻眼男と白兎

第11章 ふとした瞬間、トキめく瞬間


『ちょ、神威⁉︎離してよ⁉︎』

バタバタと神威の手の中で暴れると、程なくして手が離された。

照れと抵抗により顔を上気させる私を他所に、当の本人の神威はお腹を抱えて笑っていた。

「本当にチサは面白いネ」

コッチはそれどころじゃないっつーの!


「ホラ、似合ってるよ」

突然首元に神威の手が伸び、咄嗟に身体を硬直させる。

チャリ。


あれ?

首になんかある?


やっと首元の違和感に気付きそこに目をやると、

「え?」

そこには真っ白な兎の小さなネックレス。目に赤い飾りが付いている。


「マーキング。チサにそっくりでしょ?」

ニッコリと優しそうに笑う神威。


マーキングって…。


でもそんな神威に少しだけときめいてしまった自分がいて悔しい。

だって神威も類稀なきイケメンなんだもの!!

突然のプレゼント攻撃にこの笑顔はズルいよね⁉︎

まぁ、もちろん私は高杉さん一筋だが。


「何よ…私の事、対戦相手としか見てないくせに」


そう。神威は戦闘狂だ。

女に興味がない事ぐらい知ってる。



「そんな事もないみたいだよ?」


何でそんなに他人事なんだよ⁉︎


『冗談は止めてよね!バ神威!!』


「ホラ、そーやってこの俺に怖がらずにそんな暴言吐けるとことか、俺は気に入ってるヨ。
だから俺の事もちゃんと見てヨ」

そう言って私を捉えた眼は、とても真剣な顔をしていた。

顔が一気に紅くなるのが感じられる。

だが、その真剣な青い眼に目が離せなかった。

じっとお互いに見つめ合い、何も言えないでいると、やがて神威の顔が緩んで、

「だから俺の強い子を産んでネ」

いつものようにニッコリと笑った。


『誰が産むかァアアア!!』


私のトキメキを返せー!!!!


そして、今度こそ私たちは帰路に着いたのでした。



***

☆おまけ☆


『あ、阿伏兎さんにお土産買っていくの忘れた』

「ソレでいいんじゃない?」

そう言って神威が指を指したのは私の持っているヨーヨー。


数分後船に着き、なんだか不貞腐れている阿伏兎さんにお土産と言ってヨーヨーを差し出すと、目を輝かせて喜ばれた。


「地球人てのは面白いもんを考えるもんだなー」

デカい図体して楽しそうにヨーヨーで遊ぶ阿伏兎さんにギャップ萌えしたのは言うまでもない。
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