第11章 ふとした瞬間、トキめく瞬間
今日は丸一日高杉さんは出かけているようで、日付がまたいでもなお帰ってくる気配はない。
ヒマだー。
高杉さん隠し撮り写真集も完成したしやる事ないぉー。
暇を持て余し、小腹が空いたので食堂につまめるものを探しに行くと、冷蔵庫に一枚の書き置きが目に入った。
“冷蔵庫にヤクルトが冷やしてあります。俺の分一本取っといて下さい。高杉”
何事もなかったかのように食堂を後にし、
見なかったことにした。(^ω^;)
結局何も持って来ずに部屋に戻り、窓を開け一服をする。
平和な一日が終わ「チサー!遊びに来たヨー」前言撤回だ。
いきなり私の部屋の窓へ突っ込んできた小型船から神威が飛び出す。
『な⁉︎今何時だと思ってんのアンタは⁉︎来るならちゃんとアポ取ってから来なさいよ!殺し合いなんかしないんだからね!!』
前の事があってから私は神威には警戒心を剥き出しにしている。
こうしている今もクッション片手に距離を取って威嚇中だ。
「警戒しなくても、今日は殺し合いとかじゃなくて、普通に遊びに来ただけだよ」
ニコリと笑い、持っていた手提げの中から何やら箱を取り出す。
「ホラ、コレ。この前潰した星のお菓子」
潰したって…。
そう思いながらも差し出されたものを見ると、色とりどりのお菓子の詰め合わせ。
空腹の私にはなんとも耐え難い物だった。
ぐぅ。
腹の虫が鳴る。
思わずヨダレが出そうになる。
気づいた時には無意識に手が出ていた。
それを口に入れれば、途端に広がる甘い味。
私は夢中で食べ始めた。
私が食べるのをニコニコと見つめ、自分は一向に手を付けようとしない神威。
そこで気がつくべきだった。
あれ、なんか眠い…?
そうして私は無防備にも眠りについた。