第10章 酒は飲んでも呑まれるな
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今日はホワイトデー。
珍しく俺が気合を入れているというのに、アイツは朝から嫌な奴と絡んでるわ、なぜか全員ついてきやがるわ、挙げ句の果てには坂本と飲む羽目になるわ、俺のイライラは増すばかりだった。
だが、快援隊は珍しい酒を提供してくれるし、すこし騒々しいが、たまにはこういうのも悪くないかもと思っていた矢先、来島が酒乱と化した。
手当たり次第に銃をぶっ放したかと思えば、今度はチサを押し倒し口に焼酎の大瓶を突っ込んだ。
オイオイ、いくらアイツでもその量はヤバイだろ。
案の定、瓶をあっという間に空にしたチサはぶっ倒れた。
「ガキ、大丈夫か?」
覗き込むと、パッと目を見開いて、
「たかふぎさん!いや、晋ちゃん♡』
ガバッと俺に抱きついた。
…は?
鬼兵隊全員が固まる。
俺自身も固まっていると、隣から諸悪の根源が手を出して来たが、
『触んなモジャモジャ。毛根ごと引っこ抜いてつるっぱげにしてやろうか』
「アッハッハッハ!泣いていい?」
見事に玉砕していた。
『万ちゃーん』
今度は万斉の方へ走っていったかと思えば、アイツがデザートにと作ったシュークリームを顔面にぶち当てた。
したたる生クリーム。
流石に万斉もキレたらしく、ガキに向かってシュークリームを投げ返したが、ヒラリと躱して、その先に座っていた海援隊の陸奥に直撃した。
「何をするか貴様」
黒いオーラと共に陸奥がシュークリームをまた投げ返す。
それが他の隊士に当たる。
いつの間にかシュークリーム合戦が始まっていた。
『仁蔵さーん』
「おやおや、こんなに酔っ払って」
ガキはシュークリームが飛び交う中、それを上手く躱し続け、少し離れた場所で座っていた仁蔵の膝に飛び乗る。
仁蔵は微笑みながらガキの頭を撫でる。
なんかムカつく。
『仁蔵さん、お父さんみたい』
ふにゃっと笑う顔が可愛いが、それを仁蔵のやつに向けているのに腹が立つ。
「おっと、総督がお怒りだよ。もう行っておやり」
俺の黒いオーラに気付いたのか仁蔵がチサを俺の方へと促した。
すると、とてとてと俺の方に向かって、
「やっぱり晋ちゃんが一番れす〜』
ダイブ。
スリスリと頬ずりをしながら、
幸せそうに寝やがった。
この状況、どうやって収拾つければいいんだよ。