• テキストサイズ

隻眼男と白兎

第10章 酒は飲んでも呑まれるな


*****

今日はホワイトデー。

珍しく俺が気合を入れているというのに、アイツは朝から嫌な奴と絡んでるわ、なぜか全員ついてきやがるわ、挙げ句の果てには坂本と飲む羽目になるわ、俺のイライラは増すばかりだった。

だが、快援隊は珍しい酒を提供してくれるし、すこし騒々しいが、たまにはこういうのも悪くないかもと思っていた矢先、来島が酒乱と化した。


手当たり次第に銃をぶっ放したかと思えば、今度はチサを押し倒し口に焼酎の大瓶を突っ込んだ。

オイオイ、いくらアイツでもその量はヤバイだろ。

案の定、瓶をあっという間に空にしたチサはぶっ倒れた。

「ガキ、大丈夫か?」

覗き込むと、パッと目を見開いて、

「たかふぎさん!いや、晋ちゃん♡』

ガバッと俺に抱きついた。


…は?


鬼兵隊全員が固まる。

俺自身も固まっていると、隣から諸悪の根源が手を出して来たが、

『触んなモジャモジャ。毛根ごと引っこ抜いてつるっぱげにしてやろうか』

「アッハッハッハ!泣いていい?」

見事に玉砕していた。


『万ちゃーん』

今度は万斉の方へ走っていったかと思えば、アイツがデザートにと作ったシュークリームを顔面にぶち当てた。

したたる生クリーム。

流石に万斉もキレたらしく、ガキに向かってシュークリームを投げ返したが、ヒラリと躱して、その先に座っていた海援隊の陸奥に直撃した。

「何をするか貴様」

黒いオーラと共に陸奥がシュークリームをまた投げ返す。

それが他の隊士に当たる。

いつの間にかシュークリーム合戦が始まっていた。


『仁蔵さーん』

「おやおや、こんなに酔っ払って」

ガキはシュークリームが飛び交う中、それを上手く躱し続け、少し離れた場所で座っていた仁蔵の膝に飛び乗る。

仁蔵は微笑みながらガキの頭を撫でる。


なんかムカつく。


『仁蔵さん、お父さんみたい』

ふにゃっと笑う顔が可愛いが、それを仁蔵のやつに向けているのに腹が立つ。

「おっと、総督がお怒りだよ。もう行っておやり」

俺の黒いオーラに気付いたのか仁蔵がチサを俺の方へと促した。

すると、とてとてと俺の方に向かって、

「やっぱり晋ちゃんが一番れす〜』

ダイブ。


スリスリと頬ずりをしながら、


幸せそうに寝やがった。


この状況、どうやって収拾つければいいんだよ。


/ 250ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp