第10章 酒は飲んでも呑まれるな
「誰でござるか!また子にこんなに呑ませたやつは!」
万斉さんの怒りの声が聞こえる。
ベロベロに酔っ払って暴れまくるまた子ちゃん。
また子ちゃんはあまりお酒に強くないらしく、飲むと酒乱になるらしい。
だから鬼兵隊ではまた子ちゃんにはあまりお酒を飲ませないのが暗黙の了解となっているのだ。
他の隊士さん達ほぼ全員が一斉に犯人に指を指す。
「アッハッハッハ!すまんのぉ!見事な呑みっぷりについ!」
当の犯人は悪びれもせず能天気に笑っていた。
万斉さんの額に青筋が浮かんだ事を私は見逃しはしなかった。
「クソ。あのモジャ頭ロクなことしねぇ」
ポツリと標準語で吐き捨てる万斉さん。
私も同感だよ。(^ω^♯)
ちなみに、モジャ頭は陸奥さんからのキツい仕置を受けていた。
「チサももっと飲むっスー!」
突然目の前にやってきたまた子ちゃんにガッと押し倒され、無防備に開いた口に焼酎が瓶ごと突っ込まれる。
私は結構お酒には強い方だ。
元の世界にいた時から酒は樽ほど飲めるので、介抱役はいっつも私。
だが、そりゃあ一度にあんな大量の酒飲めば、いくら私だって確実にアルコール中毒でお陀仏だろう。
ごくごくごく。
瓶が空になって、
私はフラッと意識が遠のくのを感じた。