第8章 黒い塊でも愛があれば関係ないよね!
一口大にフォークで取り分け高杉さんが口に運ぶ。
私はドキドキしながらそれを見守る。
もぐもぐもぐ。
「…美味ェ」
『良かったァアアア』
えへへぇ〜
腕によりをかけたんだもん!
高杉さん用にちょっとビター強めで作ったんだもん!
美味しいに決まってるよね!
それにしても美味しそうにもぐもぐと食べている高杉さんを見ていると、なんだか私もお腹が空いてきちゃった。
昨日散々つまみ食いしたから今日の朝ごはん抜きにしたからな…。
…ぐぅ…。
私のお腹の虫が鳴った。
高杉さんはチラッと私を見て、
「お前ェも食うか?」
え⁉︎くれるの⁉︎
高杉さんはまた一口フォンダンショコラを口に入れもぐもぐもぐ。
あれ?
なんか高杉さんの顔近くね?
あれ?
なんか近づいてね?
そして何か柔らかい感触が私の唇に伝わった。
ん?
コレって?
体が強張る。
高杉さんの顔はもう離れている。
コレってコレって?
顔が赤くなるのを感じる。
コレってコレってコレって?
唇から甘い味が広がる。
『うわぁアアアア!!!!!』
私はズサササと座ったまま部屋の隅まで下がった。
「やっぱガキだな」
ククッといつもみたいに笑う高杉さん。
コレゎ、コレゎコレわァアー!!!
大人の階段を登ってしまったようだァアアア!!!
お父さん、お母さんごめんなさい。
結婚前の21歳の齢にして、私は遂に大人の階段を三段ぐらいすっ飛ばしてしまったようです。
こうして高杉さんは大変なものを盗んでいきました。