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隻眼男と白兎

第8章 黒い塊でも愛があれば関係ないよね!


『また子ちゃん渡すって言ったじゃん!』

「だって心の準備が!
受け取ってもらえなかったらどうすればいいスかー!」

私は今また子ちゃんと二人で高杉さんの部屋の前にいる。

二人とも手には紙袋を持って。


『その時は高杉さんにビンタと共にソレ投げつけてやれ!』

私はバンっと勢い良く高杉さんの部屋の襖を開ける。

『高杉さん!入ります!!』

「心の準備まだって言ったじゃないスか!」


部屋に入れば窓辺に座る不機嫌そうな高杉さん。


てか、すっげぇ真っ黒なオーラ身に纏ってんだケド⁉︎

また子ちゃんなんか怯えて部屋の外に隠れちゃったじゃん!!


「お前ェら、何の用だ」

低く言い、ギロリと睨まれた。


怖えええ!

で、でもここでめげちゃダメ!

行け!行くのよチサ!

私の女気見せてやれ!!


『私達渡す物があってやって参った次第でありますっ!』

怖さのあまり変な謙譲語になった。


私は怯えて隠れるまた子ちゃんを無理矢理引っ張りだす。

『ホラ!チャンス!!』

うぅと涙目で何かを訴えかけるまた子ちゃん。

可愛いけどダメ!頑張れまた子ちゃん!!


また子ちゃんに目で激励を送ると、また子ちゃんは恐る恐る高杉さんの目の前に、持っていた紙袋を差し出した。

「こ、コレ!晋助様の為につ、作りました!!受け取って欲しいっス!」


差し出した紙袋はまた子ちゃんの手を伝わり震えている。


当の高杉さんは差し出された瞬間、さっきの不機嫌は何処へやら。

きょとんとして紙袋を受け取る。


そして、高杉さんの手に渡った瞬間、また子ちゃんは顔を真っ赤にして何処かへ走り去って行った。


「…なんだったんだ?」


高杉さんは今だきょとんとして紙袋とまた子ちゃんの消えた方を交互見ている。


『開けてみて下さいよ』


そんな高杉さんが少し可愛くて、私がクスリと笑って言うと、高杉さんは言われるがまま不器用に紙袋を開けた。

中身を取り出すと、

ハートに形どったチョコレート。


『昨日また子ちゃん、料理苦手なのに頑張ったんだよ!食べてあげてね』

今だきょとんとしている高杉さんに持参した珈琲を差し出す。

「昨日?」

『ハイ!昨日ですね…』

………


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