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隻眼男と白兎

第7章 未成年の飲酒・喫煙は堅く禁じられております


チビガキが訓練場から逃げ、数時間が経つ。


俺も今猛烈に機嫌が悪い。


昼食を取る時も、俺が部屋で寝ている時も、俺が部屋でゴロゴロしている時も、側に居やがらねェ。


いつも俺が何処か行く度にウザいほど付きまとい、ウザいほど絡んできて、ウザいほど笑顔なあのガキがだ。


先程女中の仕事である選択物干しをしている所を見つけたが、
俺が近付くのを察すると、物凄い速さで何処かへ消えやがった。


アイツが機嫌が悪い理由はなんとなく理解できる。

だが、そこでこの俺直々に機嫌を取ってやろうにも、アイツが頑なに俺を避けやがるから声もかけられねェ。


…クソ。

あんなガキごときにもやもやしている俺自身に腹が立つ。
あんなガキが側にいないってだけで落ち着かない自分が理解不能だ。


だが、そろそろ夕飯だ。
料理係に聞いたところ、アイツはどうやら朝も昼も飯を食ってないらしい。
あの食いしん坊のことだ。
さすがに腹の虫が限界で晩飯ぐらいは少しは顔を出すだろう。



…そう思っていたが。

晩飯時、食堂に行ってもガキの姿は見当たらねェ。


いつもの席にポツンと一人座っている来島に声をかける。

「オイ、来島。あのガキは見たか?」

「いえ…なんか避けられてるみたいっス…」

心なしか寂しそうな来島。
避けられているのはどうやら俺だけじゃねェらしい。

「チサ、どうしちゃったんスかね…」

「おや、皆さんチサさんをお探して?」

そこに現れたのは夕食の盆を持った武市。

「武市センパイ、チサ見たんスか?」

「えぇ。今しがたここに向かう途中で。
声をかけたら『今はロリコンにも会いたくないんだァア』とか叫んでタックルして逃げやがりましたが」

「オイ、あのバカ何処に行ったかわかるか?」

「多分甲板の方でしょう。そちらの方に走って行ったので」


それだけ聞くと俺は晩飯も食わずに甲板の方へ足早に向かった。


だいたい武市に(タックルだが)アクションしといて、俺には即逃げってのが気に食わない。


人の苦労もしらないであのガキ。

見つけたらキツい仕置をくれてやるから覚悟しとけよ。




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