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隻眼男と白兎

第2章 日常へのサヨナラ、非日常コンニチワ




数十分後



本屋から出てきた私は、まるで世界の終わりのような顔をしていただろう。


お目当てのものはなかったのだ。





…まぁ今日は発売日初日。


この事態を予想しなかったわけではない。


なんのために恥ずかしい思いをしてこの帰り道ルートを選択したことか!


このルートであれば我が家までに本屋は4軒。
つまり、

あと三箇所も希望はあるのだァァァァア!



出だしで躓いたからってなんだ!
お前はこんなとこで諦める女ではないはずだチサ!
さぁ、気を取り直して次の場所に行くぞォオ!
そして今夜はあのお方(漫画)を抱いて就寝するのだァァア!



心の中で自分に叱咤激励して私は次の本屋に向かう。
目には希望の炎を灯して。






しかし…




『ウッソォォオ』



4軒目まで来た私は思わずそう叫んでいた。

家の近くなので人通りは少ないのが幸いした。





落ち着け。落ち着くのよチサ!
本屋が多い町ランキングベスト3に入るこの町(自分調べ)。
まだチャンスはあるはず!



私はポケットから携帯を取り出すと慣れた手つきでマップを開き本屋を検索した。


探索中画面が焦れったかったが、
数秒してマップはここからそう遠くない場所に本屋を示した。




神は私を見捨ててはいなかったァァァァア!!!




そう心の中で叫んで私は早足でマップを見ながら進む。

家の近くではあるが、行ったことのない場所。

こんな所に本屋なんてあったっけ?

と疑問ではあったが今は漫画を手に入れる為ならやむを得ない!


数分で着いた先はなんだか寂れた商店街のような場所だった。

人通りはなく、まだ19時にもなっていないというのに、ほとんどの店にシャッターが降りている。

なんだかヒュオオオオオって効果音が聴こえてきそうな場所だ。

少し気味が悪い。


数歩歩けばすぐに本屋は見つかった。

ほとんどの店にシャッターが降りている中、この本屋はシャッターも降りてないし薄暗いが店内に灯りも確認出来た。


ここで見つからなかったら今日は諦めるしかない。
なんとしてでも見つけてさっさと帰ろう!

そう堅く決意して店内に入った。


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