第6章 知らない人について行くのはロクなコトがない
チサの案内の下、俺たちはそこから遠くない港へと向かった。
到着すれば不機嫌オーラ全開の高杉。
『新 チサ…ただいま戻りましたぁ』
「遅ェんだよ」
バシッ
すげぇ音で脳天チョップを受けている。
「オラ、行くぞ」
高杉はまだ痛みに頭をかかえるチサに一言かけ、スタスタと前を歩く。
チサはまだ涙目だが、律儀にも俺に礼を言って高杉の方へ駆け寄って行く。
二人の後ろ姿を見つめていると、少し歩いたところで高杉が立ち止まり振り返る。
一瞬チサを見て、
「銀時。今日は礼を言う。」
…へっ?
あ、あの高杉が礼を言っただと?
「あ、ああ」
「次会う時は敵同士じゃないコトを願ってるぜ」
高杉は皮肉めいた笑みを浮かべ、また歩き出した。
「チサ!」
高杉について行こうとするチサを呼び止め、
「アイツのコト、よろしくな」
あの時、チサを一瞬見た時、アイツはすごく優しい目でチサを見ていた。
なんでチサを拾っているのかは知らない。
なんでチサを大事にしているのか知らない。
でも
チサなら、あの高杉を変えてくれるかもしれない。
チサはキョトンとしていたが、やがて満面の笑みを浮かべ
『もちろんです!何があってもお供してます』
そう言ってのけた。
何があっても…か。
きっとチサは高杉にとっての光なんだろう。
そんな事をボンヤリと思いながら、
俺はその二人の後ろ姿を見送った。