第6章 知らない人について行くのはロクなコトがない
今日は最悪な日だった。
たまたま金が入ったからパチンコに行ったものの、結果は大負け。
またメガネと大食らいにボコられることになるだろう…
気分最悪で外に出て帰ろうとしたら何だ。
真っ白な髪をしたガキに原付を盗まれた。
ソイツを追いかける大勢の野郎共から察するに、何か派手にやらかしたらしい。
「銀さん!」
声をした方に顔をあげればゴリラお「いたたたた」
「アラ、すみません。なんか悪口が聴こえた気がしたので」
なんて真っ黒い笑顔で技をかけてくるのは新八の姉のお妙。
「あ!それより銀さん!女の子がこっちに来ませんでした?」
「あァ、白髪のガキなら俺の原付パクってどっか行ったけど」
「さっき絡まれてた時に助けてくれたんだけど、あの子持ち物とか全部忘れて行ったみたいで…」
手にはたくさんの買い物袋と携帯。
俺は何気なくソイツの携帯を開いた。
目を見開いた。
そこにあったのはかつての旧友の姿。
高杉の写メが待ち受け画面に設定されていた。
てーコトは…
あのガキ、鬼兵隊か。
「あーハイハイ。銀サン用事思い出したから、その荷物寄越しな」
アイツには色々と聞きたいことがある。
俺はお妙からアイツの荷物を受け取り、逃げた方に向かって走り出す。
しばらく走り回ってようやく原付に乗る白髪頭を見つけた。
声をかけようとして、ソイツに後ろから近づく、よく見知った奴らが目に入る。
大串くんとドS王子だ。
げ。あのガキ面倒いのに目ェ付けられたな。
「オーイ探したぞー」
手を振りガキに近づく。
ガキは俺の方に顔を向けると、赤かった顔を更に赤くさせた。(なんで顔赤ェのコイツ)
「すいまっせんねー、コイツ田舎から来た俺の親戚でー」
大串くんがすごい疑いの目で見てくる。
早いとこ逃げた方が良さそうだ。
「というワケで、このやんちゃ娘返してもらいますねー」
俺はガキを押し、さりげなく、自然にその場から離脱しようとするが、
「待て!」
やっぱり鬼の副長の目は誤魔化せないらしい。
大串くんが追いかけてくる。完全に瞳孔が開いている。
俺は後ろでオロオロしてるガキにヘルメットを渡し、原付のエンジンをかけると、ガキは察したように後ろに乗り俺にしがみつく。
そして逃げるように俺達は走り出した。