第6章 知らない人について行くのはロクなコトがない
「それよりお宅のお子さん躾がなってないですよぅ。知らない輩に喧嘩売るわ、人の原付強奪するわ」
ヒィっ!
チクんないで!!
オカアサンには言わないって言ったじゃん(言ってない)先生のウソつきィイイ!!
帰ったら怒られる。帰ったら怒られる。
((((; °Д° ;)))))ガタガタガタ
私がガタガタと怯えているのに気付いた銀八センセイは、私の待ち受けのコトは黙っててくれた。
「それよりお前とうとうロリコンに目覚めたのか」
なんとも失礼な事を言われた気がするが、しばらくの無言の後銀サンが驚きの視線を私に向けた。
「え?20代?嘘だろ?どーみても中学生だろ」
二人の会話の内容はわからないが、悪口を言われているコトだけはわかる。
それにしたって中学生はないわ。
とはいえ、漫画では敵同士の二人のはずの二人の親し気な様子に、思わず私も笑みが零れてしまう。
心なしか銀サンも嬉しそうだ。
それから一言二言話して銀サンは通話を終えた携帯を私に投げ返した。
「オラ、お前ェんトコの大将がご立腹だぜ。送ってやるから行くぞ」
銀サンが立ち上がり、私は急いで自分の荷物をまとめる。
先程の騒動を案じてか、銀サンはわざわざ高杉さんの所までついて来てくれた。
こういうさりげない優しさがファンにモテるんだなって実感できました。
しばらく銀サンと歩いて、高杉さんとの約束の場所に行くと、そこには明らかに不機嫌オーラをまとった高杉さん。
『新 チサ…ただいま戻りましたぁ』
「遅ェんだよ」
バシッ
痛ェエエエ!!
高杉さんから脳天チョップをいただいた。
凄まじい痛みに私は涙目で頭をかかえる。
「オラ、行くぞ」
高杉さんはそんな私を無視してスタスタ歩いて行ってしまう。
私は銀サンにお礼を言って高杉さんの方へ駆け寄った。
少し歩いて高杉さんは立ち止まり振り返る。
「銀時。今日は礼を言う。」
高杉さんにそう言われた銀サンはとても驚いた表情を浮かべていたが、頭を掻いて「ああ」とだけ言った。
「次会う時は敵同士じゃないコトを願ってるぜ」
高杉さんは皮肉めいた笑みを浮かべ、また歩き出した。
「チサ!」
不意に銀サンが私を呼ぶ。
「アイツのコト、よろしくな」
そう言った銀サンの顔は、
どこか淋しそうに感じた。