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隻眼男と白兎

第6章 知らない人について行くのはロクなコトがない


どれぐらい倒しただろうか。

倒しても倒しても、どこから湧いてくるのか仲間の男どもが次々と出てきてキリがないったらありゃしない。

力では負ける気はしないが、如何せん元運動音痴の私の体力は底を尽き始めていた。


私は最後の体力をふりしきり走り出した。

しかし男どもも私の後を追いかけて行く。


このままじゃいずれ追いつかれる。

私は走りながら辺りを見回すと、ちょうどパチンコ屋から出てくる男の人の姿が。

その人は停めていた原付に近寄りヘルメットを装着し始める。


アレだ!

私は急いで方向転換して原付の方に走り出す。


『お兄サン!ちょっとコレ借りますよ!』

原付に飛び乗りエンジンをかける。

「え⁉︎オイ!」

私は持ち主に構わず原付を拝借して走り出した。

ごめんよお兄サン。後で必ず返すから!


原付で走っても男どものうち何人かは追いかけてきたが、私がちょいちょいと道を変え、細い路地を通り抜け、最高速度で逃げ回っていると、やがて諦めたのかいつの間にか誰も追ってくる人はいなかった。


私は逃げるのを止め、原付のエンジンを止めて一息つく。


しかしこれからどうしよう。

原付を返しに行きたいし、
そういばせっかく買った荷物もあの場に忘れてきたようだ。

戻りたいが今はまだあのチャラ男どもがうろうろしているかもしれない。


私がオロオロとしていると、

「そこの原付ィ、ヘルメットはどーした」

二人組で歩く警察。

マヨラー星の王子こと、鬼の副長土方十四郎だった。


なっ………!!

イケメンきたァアアア!!

いや落ち着け!こんな所で興奮している場合じゃない。

今私は逮捕されるかされないかの瀬戸際だ。

逮捕でもされてみろ。

高杉さんに殺される。


「しかも速度交通違反でさァ」

よく見ればもう片方はドS星の王子こと沖田総司。


ブホォアアア!!!

土方さんと沖田さんのセットだとォ⁉︎

なんだコレ!ハッピーセットか⁉︎

私の心は超ハッピーだコノヤロォオオオ!!!


「オイ、アンタ、菅笠はヘルメットじゃねーんだよ。それに速度も規定値オーバーだ。とりあえず免許証出せ」


んーと……
持ってるには持ってるけど…

前の免許証って使えるのかな…?

私は財布から免許証を取り出し見せる。


二人が眉をひそめ、なにやら顔を合わせる。

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