• テキストサイズ

隻眼男と白兎

第5章 早起きは三文の徳


この状況はたいへん興奮す…ゲフンゲフン嬉しいが、
生憎今は高杉さんを起こす方が先だ!

このままじゃ私の血液が保たない!!

体のありとあらゆる所から血が吹き出しそうだった。

『高杉さん!起きましょっ!朝ごはん残ってますよ!』

高杉さん聞く耳持たず。

『今日はなんとデザートまであるんですよ!』


…ピクリ。


「…デザート?」

『はい!特製プリンです!』


「…じゃあ起きる」




あっれェエエ⁉︎


高杉さんといえば、

「俺は世界をぶっ壊す人間だ。そんな腑抜けたもんはいらねェ」的な人じゃなかったっけ⁉︎

いや、そーだよね⁉︎

それが、


あるぇええええー⁉︎




「その代わりに一曲歌え」


振り向けばニヤリと笑う高杉さん。

『そんなイキナリ⁉︎』

「どこでも構わず歌ってんじゃねェかよ」

いつも歌う時は誰の気配もしないことを確かめてるのに。


この人さては地獄耳か。

「お前ェの声がでけェんだよ」

あれ?エスパー?

「声に出てんだよ」

『わぁお』

「早くしろ。寝るぞ」

子供か、この人。

「ガキはお前ェだ」


また声出てたァアアアア!!


『わかりましたよ!歌いますよ!歌えば良いんでしょ⁉︎
その代わり手離して下さい!さすがに歌えません!』


こんな格好じゃ歌より先に鼻血が出るわ!!


すると高杉さんは案外大人しく手を離してくれた。

私は布団から這い出て、呼吸を整え、一曲披露する。


時々替え歌をして高杉さんを皮肉りながら歌ってみる。

が、気付かないのか高杉さんは黙って聞いてくれてた。


『ふぅ』


私が歌い終えて高杉さんを見ると



『寝てるやないかぁイイイイ!』

子守唄じゃねぇんだよ!

起きる条件で歌ったのに寝るとはどうゆう了見だコラァ!!!


起きろこの中二病ォオオオオ!!!

「誰が中二病だって?」

また声出てたァアアアア(二度目)


二度あることは三度ある。


また高杉さんに無礼を働いたら今度こそ切り捨てられそうなので自重しまふ。



「約束通り起きてやらァ」

高杉さんがむくりと起き上がる。

「さっさと朝飯持ってこいチビ」

チビとはなんだ!チビとはなんだ!!


「プリンは二個な」



『クッソ高杉ィイイイイ!!!』


二度あることは本当に三度ありました。

/ 250ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp