第5章 早起きは三文の徳
(ちなみに寝起きの高杉さんの片目は上手いこと前髪で隠れているので見えないよーになってるよ。
この都合良さ、まるで漫画か)
ぁあ…万斉さんがあの時立ち往生してたのはコレか…
高杉さん低血糖さんか…
そんな顔してるもんな…
こんなん命がいくつあっても足りないわ…
どうせこんなとこで死ぬんだったらもっと高杉さんをハスハスしとけば良かったなぁ…
死を覚悟していた私だったが、
高杉さんの猛烈な殺意はやがて薄れて、
ぱたん
高杉さんまた寝ちゃった。
…ぅう。
また起こしにかかったら、今度こそ殺されるかもしれない。
でも、万斉さんに「自らやる」と言っといて起こさないのもプライドに反する。
…。
…チキンがなんだ。
そうだ!チキンがなんだ!!
チキンなんてアレだ!
あの…ホラ!
焼いたら美味しいんだぞアレ!
チサお前ェは出来る子だ!!!
『た、高杉さぁん…もぅ、起きて下さぁぃ』
アレ?意思に反して随分と情けない声が出たゾ?
私は高杉さんの横にキチンと正座している。
しかも涙目である。
しかし、
一瞬にして自分の体が宙に浮いた。
何の前触れもなく。
気付いたら私は高杉さんの布団の中にいた。
え?
いやいや。
自分から入ったんじゃないよ?
そりゃ入りたいけど!
でも違うよ?
この状況で自分から死にに行くようなコトしないよ⁉︎
なんたってやっぱり私はチキンだから!!
後ろにいる高杉さんの腕が私の腰にまわる。
え⁉︎
ちょっ⁉︎
『た、高杉さんんん⁉︎⁉︎///』
「まだ眠ィんだよ。寝かせろ」
私はすっかり高杉さんの抱き枕にされていた。
幸いな事に、先程までの恐ろしい殺気は今はすっかり感じられない。
いかん。
これゎいかん。
実にいかん事態だ。
自分の鼻息が荒くなってることに気付く。
おっと、いかん。
これはヒロインにあるまじき行為だ。
普通こんな事になったとして、可愛らしい漫画のヒロインなら顔中真っ赤にして「恥ずかしくて死んじゃいそう///」とかなんとかイタイこと言うんだろう。
だが私はどうだ。
まるでおっさんではないか。