第27章 猫耳は正義
そんな私を他所に高杉さんは、
「そんなんじゃねェよ。コイツはただの…
…下僕だ」
『ファッ⁉︎⁉︎』
しれっとおっしゃいました。
『高杉さん⁉︎下僕ってヒドくないですか⁉︎こんなに私尽くしてるのに⁉︎⁉︎』
「だからそれを下僕って言うんじゃねェか」
『むきゃーーー!!!』
全力で下僕抗議する私と、それを軽くあしらう高杉さん。
そんな私達の様子を見て、
「あははは」
おばさんは声を上げて笑い出した。
「なんだよ?」
「ふふっ、ごめんごめん。いや、こんなにイキイキしてる晋ちゃんは久しぶりに見たよ」
おばさんは笑い過ぎて涙目になった目元を吹くと、まじまじと私を見つめた。
「てことは、アンタももしかして…鬼兵隊かい?」
『⁉︎鬼兵隊の事ご存知なんですか⁉︎』
「そりゃあ、鬼兵隊は有名だからねぇ?」
突然出てきた鬼兵隊という言葉に思わず驚く私に、おばさんはさも当たり前といったような顔をして笑う。
「私はね、晋ちゃんが鬼兵隊を創るもっと前…こんなガキの頃から晋ちゃんを知ってるんだよ」
おばさんは懐かしむように空を見つめたかと思えば、
今度はやれやれといったふうに溜息をついて、
「それしても晋ちゃんがロリコンだったとはねぇ…おばさんビックリだよ。
アンタもそんな若くから苦労してんのねぇ」
「誰がロリコンだクソババア」
『私はいつになったら年相応に見られるんだろう…(涙)』
「もうホント!昔はまだ可愛げがあったってのに、今となってはただの口の悪いイケメンじゃないの!おばさん悲しいわぁ」
『そうだそうだ!口の悪いイケメンめ!!』
嘆くおばさんにわたしも便乗してみる。
すると、高杉さんはギロリと私を睨んで、
「うるせェぞクソガキ」
ゴッス
『理不尽!!』
私だけにゲンコツを落とした。
「もうお前ェはうるせェから先に外出てろ。
アンタも、俺は世間話をしに来たわけじゃねェ。さっさと客の頼んでるもん寄越せ」
『ちぇー』
「はいはい」
私は悪態を吐きながらも、半ば追い出されるようにして店の外へ出た。
数分後、店から出てきた高杉さんが抱えていたのは、白で彩られた花束だった。