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隻眼男と白兎

第27章 猫耳は正義



晴れ渡る空!

雲ひとつ無い青空!

寒すぎないこの気温!!


今日は絶好の


『デート日和だァアアア!!』

「デートじゃねェ」

ゴスッ

『ひでぶっ!』



私は今、高杉さんと江戸の街に来ている。

なんでも、私を連れて行きたい場所があるらしく、こうして高杉さんに連れられて来た次第だ。

大好きな高杉さんがわざわざ私を何処に連れて行こうというのか、
そりゃ年頃の恋する乙女なら気にならないわけないですよ!

なのに…

『ねー高杉さん?連れて行きたい場所って何処なんですかー?』

「行きゃわかる」

この繰り返しときた。


そりゃあこんな頑なに目的地を教えてくれないとなると、コッチはデートかとワクワクもしますよ⁉︎

もしかしてサプライズで、夜景が見えるレストランだとか、絶景スポットだとかに連れて行くつもりなのか!

期待もしちゃいますよ⁉︎
全国の恋する乙女達よ!違いますか⁉︎


…まぁ、
とは言っても相手はあの高杉さん。

高杉さんに限ってそれはあり得ないんだけどね。(苦笑)


だから、私は期待半分、諦め半分で高杉さんの後ろをついて行くのみだ。


少し歩いて、
そんな高杉さんが入った先は、こじんまりとした花屋。

高杉さんは店に入ると、店中に飾られた花には目もくれず、被っていた菅笠を取ってレジに立っている店主らしき人へと話しかけた。

「よォ。…いつものくれるか?」

「あらあら晋ちゃんじゃないの」

店主のおばさんは高杉さんに気がつくと、何やら作業をしていたらしい手を止め、私がいる事も御構い無しに懐かしそうにお喋りを始める。

「随分と久しぶりねー、二年ぶりじゃない?」

「あァ、ここんとこ色々と忙しくてな」

なんとも信じ難い事実だが、どうやらこの花屋さんは高杉さんの行きつけの店らしい。

しかも、おばさんの高杉さんの呼び名から推察するに、随分と旧知の仲のようだ。

完全に蚊帳の外な私はカウンターの横にある花を眺めて時間を潰すことにした。

「ところで」

半ば一方的に喋っていたおばさんの昔話もちょうど区切りがついたのか、おばさんは高杉さんの隣にいる私にやっと目を向ける。

「高杉さんが女連れだなんて珍しいわねぇ。
もしかして…コレかい?」

『なっ//』

小指を上げてニヤニヤと笑うおばさんに私は反射的にどぎまぎしてしまう。

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