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隻眼男と白兎

第26章 敵の敵はやっぱり敵



「ククッ、フラれたみてェだなァ?」

恐怖に顔を引き攣らせる志士に高杉さんが刀を振りかざす。


「どっちにしろ誰にも、何処にも、コイツをやる気はねェよ」

そう言って高杉さんは

その刀を振り下ろした。




こうして私達の戦は幕を閉じた。



『あァアーー!!つっかれたァア!!』

私は全て終わった安心感に床に大きく大の字に寝転んだ。

つられるようにして、なんとか立っていた新選組隊士の人達もその場に寝転んだ。

なんだかそんな光景が可笑しくて、私の口からは思わず笑いが込み上げてしまう。

「チサーーー!!」

『ぐえふっ⁉︎⁉︎』

寝ているところにいきなりまた子ちゃんがのしかかってきた。

また子ちゃんのたわわな胸から這い出し、その顔を見ると、

また子ちゃんは涙でグチャグチャになった顔で私を抱き締めていた。

「チサが!チサが死んじゃったかと思ったっスーー!!うわぁああん!!」

『大丈夫大丈夫…私、皆を残してこんな所で死んだりしないよ…』

また子ちゃんの頭を撫でながら優しく呟く。

でも…

ヤバい。

コレ…


もらい泣きィイイイ!!

『うわぁああん!!本当に死んじゃうがど思っだぁああ!!』

また子ちゃんの涙につられて私の瞳からも次から次へと大粒の涙が溢れ出て止まらない。

止められない、止まらないんだ!

「そこ二人、ピーピー喚いてないでそろそろ帰るぞ」

わんわん泣いている私達を他所に、高杉さんは一人背を向け私たちに言った。

「…とか言って、晋助も涙ぐんでるのではないか?」

「あァ⁉︎泣いてねェ!!」

横から茶々を入れる万斉さんにキレる高杉さん。

こんな、いつも通りの風景がまた見られて…

『うわぁあああんんん!!』

私はもっと泣いた。

「チサ、今回はお主のおかげでござる。おかげで拙者達皆助かったでござるよ」

泣き喚く私に、万斉さんが膝をついてあやすように頭を撫でてくれる。

『うぅっっ…万斉さぁん!』

「そうですよ、チサさん。貴女のおかげで私はまだ生きてるんです」

『武市変態ぃぃ…』

「え?なんでここで変態?今の絶対変態の流れじゃなかったでしょう?」


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