第26章 敵の敵はやっぱり敵
動いて…
動けよ…!
私の身体でしょう?
必死に動かない身体へ命令しても、それは叶わない。
それどころかどんどん重くなってくる瞼。
皆を助けたい。
皆を守りたい。
もう大切な人を目の前で失くすのは嫌なんだ。
かつて失くした、父親のような存在だった大事な人の後ろ姿がチラつく。
お願い。
もしも神様いるのなら、
今ここで私に力をください。
皆を守れるだけの力を下さい。
そうでなければ、いったい私は何のためにこの世界にやって来たの?
「ガキ!しっかりしろ!!
…チサ!!!」
私の名前…
高杉さんが私の名前で呼んでくれたのはこれで二度目だね。
いっつもガキとかチビとかバカとか、そんな呼び方しかしてくれないんだもん。
瞼が閉じかける。
大丈夫、ありがとう、ごめんなさい。
後できっと言うから。
いつもみたいに高杉さんがウザがるぐらいの鬱陶しさで、笑って言うから。
高杉さんは死んでも私が守るから。
だから
少しだけ待ってて…?
そして私は完全に瞳を閉じた。