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隻眼男と白兎

第26章 敵の敵はやっぱり敵



皆が帰ろうと立ち上がる最中、突然入り口の襖が勢い良く開かれた。

「御用改めである!鬼兵隊!およびそれに関わる天下の謀反者共!神妙にお縄に付け!」

その先頭に立っていたのは土方さんと近藤さんだった。

「マズい!新撰組だ!皆退散せよ!」

誰かがそう叫び、煙幕でも投げたのか、辺り一面もくもくと煙が広がり視界が奪われる。

『高杉さん⁉︎高杉さんどこですか⁉︎』

必死に見えない辺りを見回しそう叫んでいると、

『ぐえっ!』

いきなり誰かに襟元を捕まれ息がつまる。

「ウロチョロすんなガキ」

『げほっ!た、高杉さん⁉︎』

見上げると、そこには顔をしかめる高杉さんがいた。

そのどこにも怪我のない様子にホッとすると同時に、

いきなり背後から強い殺気を感じた。

『⁉︎高杉さん!』

咄嗟に肩に下げていた弓を前方へと構えると、そこにキンという音と共に刀がぶつかった。

次第に煙も薄れ視界がハッキリとしてくる。

「やっぱりお前ェ、ただモンじゃなかったか」

先ほどの殺気は目の前にいるこの人、

土方さんのものだったようだ。

「やっと尻尾を掴んだぜこの白髪チビ!」

土方さんは動向ガン開きで私を見てニヤリと笑う。

『…白髪じゃありません。あとチビは余計ですよ、新撰組鬼の副隊長…!』

私が渾身の力で刀のぶつかった弓を薙ぎ払うと、土方さんはピョンと飛び退き間合いを開けた。

「まさかテメェみたいなガキが鬼兵隊の一員だったなんてなァ?
…て事は万屋もグルか?」

そう言って土方さんは疑惑の目を向ける。

『なっ…!銀さんは関係ない!あの人は私が鬼兵隊の一員だなんて知らない!』

まぁ嘘だけど。

銀さんには私の携帯の待ち受けのせいで出会い頭に既に正体はバレている。

それでも何にも関係のない銀さんを巻き込むわけには行かない。

私の正体を知ってもなお突き放したりしない大事な友達を失いたくないんだ。


『…高杉さん!どうにかして逃げましょう。この数、この人達相手では部が悪すぎます』

目は土方さんから逸らさずに後ろに控える高杉さんにそう投げかけるが、

「…いや、それは無理みてェだな」

帰ってきたのは高杉さんの少しイラついたような声だった。


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