第26章 敵の敵はやっぱり敵
チラリと後ろを振り向くと、
先ほどまで一緒に会議していた攘夷志士の面々が高杉さんに立ちはだかるように刀を構えて立っていたのだ。
「残念だったなァ高杉。新選組に垂れ込んだのはこの俺だ。数はこちらも負けていない。それに対して貴様ら鬼兵隊はたったの五人。
これで新選組もろともお前達を消し去れるというわけだ!」
そう私たちを嘲笑うかのように言ったのは司会進行役の攘夷志士。
新選組を撒こうと煙幕を張ったように見せかけて、煙に紛れて私達の背後を取ることが目的だったようだ。
最初から全部仕組まれていたのか。
会議中に感じた嫌な空気は気のせいなんかじゃなかったんだ。
目だけを動かしてまた子ちゃんや万斉さんや武市先輩を探すと、皆同じように新選組と攘夷志士達に囲まれながら戦っていた。
「道理で今回の参加者も少ないわけだ。
お前ェら、鬼兵隊に喧嘩売るのがどういう事かわかってるんだろうなァ?」
高杉さんがギロリと睨みを効かせると、一瞬裏切り者達はたじろんだが、それでも刀を強く握りしめてその刃先は高杉さんの方へしっかりと向けられている。
「オイ、俺を忘れてもらっちゃ困る」
キンッ
『うっ!』
私の目の前にいる土方さんが私に攻撃を仕掛けてきた。
それに続くように攘夷志士も高杉さんへと一斉に向かう。
高杉さんは次々と振り下ろされる刀を躱し、受け流しながら、土方さんの刀を弓で防ぐ私の背中にトンと自分の背中を合わせた。
『まったくもう!高杉さん⁉︎嫌われすぎじゃないですか⁉︎』
「ハッ、っるせェ。俺についていけねェ奴なんざいらねェよ」
こんな状況でもそんな余裕の発言をしてくる高杉さんに思わず苦笑が漏れる。
「ガキ。俺はコイツらを殺る。お前ェはそっちを頼むぞ」
そう言い残し離れる背中。
それに少しの寂しさを感じたが、
今はそんな事言ってられない。
なんせ私の目の前にいる敵は、あの新撰組鬼の副長、土方十四郎なのだから。
「どうしたお前ェ、さっきから防戦一方じゃねぇか」
激しい斬撃に息を切らす私に対して、土方さんは汗すらかいていない。
『…まだ本気出してないんで』
無理矢理不敵な笑みを作り強気な態度取る。
けど…
ホントはもう十分本気なんだけどね⁉︎
と、そこに、
ドォオオオン