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隻眼男と白兎

第4章 身だしなみチェックは良い女の秘訣である


あとは簡単に部屋のレイアウトを変えてみる。

先程見つけて天日干しをした絨毯を部屋に敷けば
和風と洋風が混ざった我ながら可愛らしい部屋の完成だ。

あとは…
洗面所もあるみたいだし一応覗いておくか。
多分そこも埃まみれだろう。

私は濡れた雑巾を片手に洗面所へ向かう。


案の定そこは先程の部屋と同様に鏡から何まで埃まみれだった。

私が丁寧に鏡を拭いていくと、
そこには真っ白い髪と紅い目をした女の子。


え⁉︎オバケ⁉︎

いや、待てよく見ると私に似ているよーな…。


鏡の向こうに微笑んでみる。
向こうも微笑み返してくれる。

手を振ってみる。
振り返してくれる。

自分の顔をペタペタ触ってみる。
向こうも同じことをしている。

右!っと見せかけて左!手をあげてみる。
寸分違わず同じ動作。


『エェエエエエエエ⁉︎⁉︎⁉︎』

私の叫びは船内中に響き渡っただろう。


万斉さんが慌てて部屋に入ってきた。

「どうしたでござるか⁉︎…!!」

万斉さんがあまりの変貌ぶりに部屋を見渡している。

しかし私はそれどころじゃなくて。


『万斉さん…。私、白髪のおばあちゃんになっちゃった?』

万斉さんがハァ?と私を見る。

私は涙目だ。

「お主元からその成りじゃないでござるか?」

元からって?

どこから?

この世界に来た時から

鬼兵隊に連れられた時から

私の髪と目こんなんだったでござるのか⁉︎

元の世界の私は、髪は白には近かったが黒を染めたアッシュだったし、
目は一般日本人の茶色だったはず…。

そういえばまた子ちゃんもうさぎちゃんがどうのって言ってたな。

コレじゃ確かにうさぎちゃんそのものだ。


「しかしすごい変化を遂げたでござるな。お主家事は得意か?」

万斉さんにとっては意味不明なことを言っている私を無視して話を余裕で変えてくる。

そりゃ一人暮らししてたし…。

万斉さんに涙目の私がコクコクと頷く。

グラサンがキランと輝く。

「ならば是非我が鬼兵隊の女中になって欲しいでござる」

万斉さんの両手が私の肩をぐっとつかむ。


あまりの気迫にイエスとしか言えなくて。



お母さん。

私就職先決まったよ…。


私は今日、鬼兵隊女中に就職が決まりました。

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