第25章 世界中いつも誰かがハッピーバースデイ
「だって、随分長いこと登場してなかったから、読者様達待ってるかと思ってネ。
チサにも会いたかったし」
ニコリと笑いガキに笑いかけるがガキは相変わらずのしかめっ面をより一層不快そうに歪めた。
と、そこに、
「チサに近寄るなっスー!!」
ドンドンドン
『ぎゃあ!』
馬鹿兎目掛けて放たれる銃弾。
それはガキと馬鹿兎の間すれすれを通り越していった。
銃弾が飛んできた方向に目を向けると、来島がいつの間にか拳銃を握り締め馬鹿兎へと銃口を向けていた。
その顔はやっぱり真っ赤で、
完全に酔っていた。
ホラな。デシャブだ。
「またアンタ?邪魔しないでヨ。今度こそ殺しちゃうヨ?」
「うるさいっス!私と晋助様のチサから離れろっスー!!」
ドンドンドン
再び銃弾が放たれるがそれを馬鹿兎は見事に飛んで躱す。
「誰でござるか!こんなにまた子に酒呑ました奴は!」
「アッハッハッハッハ!良い飲みっぷりについ!」
『またお前かモジャ頭ー!!』
「ちょ!誰か来島さん止めろ!」
「コラ猪女!貴女はこの部屋ごと破壊するつもりですか!」
「しゃらくさいっスゥウウウ!」
皆が暴れる来島に掴みかかるが、それでも来島は銃を打つのをやめない。
馬鹿兎はというと、まるで遊んでいるかのように笑いながらその銃弾をひらひらと躱し続けていた。
「誰か来島さんの銃を奪え!」
「うわぁあああ!」
「アッハッハッハッハ!今わしの頭擦りよった!」
皆焦っているようだが、
来島もっとやれ。
俺は呑気にそんな事を思っていた。
「はぁ。まったく…」
阿伏兎は心底呆れた表情をして俺の隣にどかっと腰を下ろした。
「…なんかスンマセンね、うちの馬鹿が」
「いや…お前ェも苦労してんだな」
その不憫そうな境遇に、側にあった酒を勧める。
そうして二人で酌み交わしながら互いの苦労話に花を咲かせた。
こんな状況下なのにも関わらず、同じく馬鹿の面倒を見る者同士として共感し、俺たちはすっかり意気投合していた。
「チサー、俺の分もケーキないのー?」
『はぁ⁉︎バ神威!この状況で何言っちゃってんのォオ⁉︎』