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隻眼男と白兎

第25章 世界中いつも誰かがハッピーバースデイ


「あー、…礼を言う…。
…その、なんだ…
…とりあえず呑め」

俺のぎこちないその言葉で皆一斉に乾杯を始めた。

『高杉さんビックリしました?』

隣に座るガキが俺に酒を渡しながら笑顔で問い掛ける。

どうやらこの企画はコイツが仕組んだ事らしい。

それならば納得もいく。

「…あァ」

そうとだけ返すとガキは嬉しそうに笑っていた。


周りの様子を見れば、皆楽しそうに飲み食いしていて、なんらただの宴会と大差無い。

そうであれば俺もこの宴会をとことん楽しんでやろうという思いが生まれた。

「ガキ、今日は無礼講だ。お前ェもどんどん呑みやがれ」


そうしてしばらく楽しく呑んでいた所に、招かれざる客は来た。

「高杉ィイ!」

バンッと勢いよく開かれたその先には

「げ」

モジャモジャ頭がいた。

「テメェ、何で此処にいやがる」

「相変わらずつれないのォ高杉は!」

ソイツは何時ものようにムカつくほどのマヌケ顏の笑い声で俺の隣へ腰を下ろした。

「いやな?今日はおまんの誕生日じゃろ?それでおまんに電話したらそこのチサが電話に出てな、『今日高杉さんの誕生日会をやるので良かったら来ませんか』とお誘いを受けたもんでな、来ちゃった☆アッハッハッハー」

来ちゃった☆じゃねェよ。

元凶である隣のガキを睨み付けると、ガキは明後日の方を向きながら笑っていた。

「まぁまぁ、自分の誕生日ぐらいもっと笑っていたらどうじゃ?
美味い酒もたくさん用意して来たきに。今日はコレで呑み明かそうぜよ!」

そう言って俺の前にドンと酒を置く。

コイツの持ってくる酒は確かに美味ェんだが…

何故だろうこのデジャブ感に一抹の不安を覚える。


しかし辰馬の振舞う酒を呑み続けるうち、そんな不安も忘れ、俺も段々と酔いが回ってきた。

「なんか面白い芸でも見せろ」

そう投げ掛けると、俺が俺がと隊士達が手を挙げ披露していく。

『じゃあハイ!次!チサいっきまーふ!』

隣にいるガキも手を挙げ身を乗り出す。

珍しく自分から人前で歌うと言い出したかと思えば、コイツ珍しく相当酔ってやがるな。

呂律が回ってねェ。


それでもガキはフラフラと立ち上がると息を吸い込み歌い出した。
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