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隻眼男と白兎

第25章 世界中いつも誰かがハッピーバースデイ



「高杉さん、起きないですねぇ?」

「チサが!馬鹿力で晋助様を気絶させたりするから!!」

『だって!ああでもしないとバレちゃいそうだったんだもん!!』

何やら俺に降りかかる騒々しく声で俺は目を覚ました。

う…

「…るせェ」

目だけを薄っすらと開けて騒々しい声の主人達を睨み付ける。

『高杉さん!良かったぁ!』

安堵と心配の入り混じったような顔で俺の顔を覗き込むガキを見て、意識の途絶える前に覚えた怒りを思い出した。

「テメェ…」

起きるなりガキの頭を再度鷲掴みにしてさっきよりもその手に力を込める。

『あだだだだ!!!ごめん!ごめんなさいってばァア!!』

「テメェ、俺に薬を盛っただけでなく手刀まで喰らわせやがって…いい度胸してんじゃねェか。覚悟は出来てんだろうなァ?」

『ヒィイイイ!!』

俺がギロリと睨めば、ガキは顔を青ざめ冷や汗をかきながらバタバタと手をバタつかせる。

と、

「晋助様お誕生日おめでとうございますッスぅ!」

彼方此方からパンパンと鳴り響くクラッカーの音。

俺は何が何だかわからずポカンと口を開ける。

『うー痛いなぁ…高杉さん!お誕生日おめでとう!』

いつの間にか俺の手から逃れたらしいガキが先程までの痛みで未だ涙目ながらも満面の笑みで笑いかけている。

「…は?え?」

やっと出せた言葉はそんな情け無い疑問符だけ。

俺が辺りを見渡すと、俺が目を覚ましたこの部屋にはいつの間にか色取り取りの装飾がされていた。

『今日は8月10日。高杉さんのお誕生日ですよ』

ガキに言われ、やっと思い出した。

長ェ事自分の誕生日なんか祝った事も祝われた事もなかった為にすっかり忘れていた。

そして思い出したと同時に少しだけ照れ臭さと嬉しさが込み上げてきた。

『さ!高杉さん!今日は楽しみましょう!』

そう言って俺の手を取り、用意されてた長テーブルの上座の席へと促される。

席につけば、色取り取りの豪華な食べ物と、たくさんのお酒と、アイツが先ほど作っていたケーキが並べられる。

『では!今日の主役から何かどーぞ!』

未だ少し同様したままでいる俺にガキがそんな無茶振りを吹っ掛けてくる。

ふざけんな、と殴ってやろうかとも思ったが皆の期待のこもった視線が痛い。

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