第25章 世界中いつも誰かがハッピーバースデイ
窓から溢れる眩しい太陽の日差しで俺は目を覚ました。
上体だけ起こして枕元の時計を確認すると、
時刻は13時10分。
…。
13時10分⁉︎
思わず時計を手に取りまじまじと見つめる。
あのガキが来てからというもの、俺が朝食の時間まで寝ていれば必ず起こされていた。
なんたって俺は朝食はしっかり摂る派だ。
この世界をぶっ壊すという目標を持っている俺にとって朝食は欠かせねェ。
それなのに…
珍しくアイツが起こしに来た痕跡はねェ。
くそ。
朝食どころか昼食でさえ食い損ねたじゃねェか。
俺はのそのそと起き上がり身支度を適当に済ませ、あのガキに文句の一つでも言ってやろうと部屋を出ることにした。
「あ!おはようございます高杉さん!」
「ああ」
廊下を歩けばすれ違いざまに隊士から声をかけられる。
それはいつもの事だが…
なんだか今日はやけに皆急いでいるようだ。
「オイ、ガキ何処にいるか知らねェか?」
丁度すれ違いざまに声をかけてきた隊士に問いかける。
「え!チサさんですか⁉︎えーっと、あー…すみません。ちょっとわかんないですね」
ぎこちない返事が返ってきた。
そのままその隊士は、用事があると言って逃げるように俺の前から去っていった。
…これはどうにも怪しい。
道行く他の隊士にも問いかけてみるが、どいつもこいつも同じような反応しか示さねェ。
とりあえずいい加減腹が減った俺は、何かつまむもんでもねェか食堂へと向かう。
食堂へと向かうと、何やら甘い良い匂いが厨房の方から漂ってきた。
その匂いにつられるように厨房を覗き見ると、
いた。
チサが何やら鼻歌を歌いながら手を動かしている後ろ姿があった。
何か調理でもしているのだろうか。
熱中しているのか俺がすぐ後ろにいることすら気付きやしねェ。
俺がそっと後ろからチサの手元を覗き込むと、
「…ケーキ?」
そこには鬼兵隊全員が食べれそうなぐらい大きなケーキがあった。
ガキはそのケーキに生クリームやら苺やらで飾り付けをしていた。
『な⁉︎た、高杉さん⁉︎』
俺の声にビクリと飛び上がると、ガキは慌てた風にやっと俺の方へと振り返える。