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隻眼男と白兎

第24章 計画はご利用的に!!



「似てないでござるな」

ボソッと呟くと、チサは怒ったように頬を膨らませる。

『う、うるさいですよ!
今年はもう過ぎちゃったから、来年絶対万斉さんの誕生日会もやりましょうね!』

そう言ってまた満面の笑顔に戻った。


『…万斉さん?』

「ん、あぁ、すまない」

呼びかけられて我に帰った。


一瞬、

一瞬だけチサの笑顔に見惚れてしまっていた。


チサの笑顔はまるで太陽のようだ。

向けられたものの心まで暖かくさせる。

いや、それは笑顔だけに限らず、

チサの、その存在自体がまるで太陽のようだ。

かつて誰かが晋助を光の様だと例えたように。


「それ、貸すでござるよ」

『ん?どれです?』

首を傾げるチサの手に持つたくさんの買い物袋を指差す。

『でもコレ重いですよ?』

「お主は仮にも女子であろう。ホラ早く。日が暮れてしまうでござるよ」

そう言うとチサは一瞬ポカンと、やがて悩ましげに、そして最後は笑顔で手に持つ荷物を差し出して来た。

『じゃあ半分お願いします!』

「ああ」

チサから手渡された荷物は、


重っ⁉︎⁉︎

本当に重かった。


『フフッ』

隣に並ぶチサが嬉しそうに拙者を見る。

「…何でござるか?」

拙者がチサを見やると、チサはその太陽のような笑みを拙者へと向けて、

『万斉さんありがとう!』

そう言った。

「何に対しての感謝でござるか?」

『んー、色々?今日1日全部ひっくるめてのありがとうです!』

なんだか随分大雑把な気もするが、そんな風に素直に感謝されるのに悪い気はしない。

「そうか」

そう返した拙者の口角も自然と上がっていた。


「…一つ新しい歌を思いついたでござる」

ロックでもバラードでもあり、円舞曲でも夢想曲でもある。

コロコロと曲調の変わる、チサにピッタリな長調の曲を。


「その曲が出来たら…
その時はお主が歌ってくれるか?」


『私で良ければ喜んで!』

そう言ったチサは照れたように少しだけ頬を赤らめて笑っていた。

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