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隻眼男と白兎

第24章 計画はご利用的に!!



オマケに元から弓術に長けているとは聞いていたが、それ以上に刀の扱いにもすっかり慣れたもので、鬼兵隊内ではチサに敵う者は信助と拙者ぐらいだろう。

それにも関わらずチサはその強大な力に頼りもしない。

無闇に殺生をすることもなく、己が護りたいものの為だけにその力を振るう。


チサ…

本当にお主は一体

何者なんだ?



***


その後無事に買い物も全て終わった拙者達は鬼兵隊への帰路へと付いている。

隣に歩くチサは実に満足そうに両手に買い物袋をたくさんぶら下げて歩いている。

『高杉さん喜んでくれるかなー!?』

「きっと喜ぶでござるよ。
なんせこんな祝い事は今までやった事も無いでござるからな」

『え⁉︎今まで誕生日会とかやった事ないんですか⁉︎』

チサが驚いた顔をして拙者を見上げる。

「あぁ。また子は軽い贈り物程度は送っていたであろうが、こんな大掛かりなことは初めてでござる」

晋助は祭りだ祝い事だによく興じるが、誰かの誕生日は祝った事はない。

きっと当の本人ですら自分の誕生日を忘れているんじゃないでござろうか。


チサはうーんと考え込む仕草をし、

『あ!私買い忘れたものがあったんでちょっとここで待ってて下さい!』

そう言い残してパタパタと駆けて行った。

チサが入った先はこじんまりとした文房具店。

ものの数分程度で息を切らしながら帰ってきた。

「何を買ったでござるか?」

拙者が問い掛けると、チサは未だ肩で息をしながら今買った袋をバサッと開けて中身を見せてきた。

「…カレンダー?」

そこにあったのは小さなサイズの花柄で彩られたカレンダー。

『はい!』

チサはやっと呼吸を落ち着かせ、同じく買った袋からボールペンを取り出すと、カレンダーをペラペラとめくり5月のページのある日付に丸を付けた。

この日は…

『これで万斉さんの誕生日もお祝いできますね!』

5月20日。

拙者の誕生日だ。


チサはご丁寧にその日付の四角いマスの中に“万斉さんの誕生日”と小さく文字を書き、更に何やら絵まで描いている。

そのサングラスにツンツンの頭は…

もしかして拙者でござろうか…?
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