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隻眼男と白兎

第24章 計画はご利用的に!!



「チサ…お主が必死になっていたのは金のためでも財布のためでもなく…
…ストラップのためだったでござるか…?」

『お金では買えない価値がある(キリッ)」


まさか、そんなストラップ(財布はあくまでもオマケ)ごときにこの長時間必死になって探し回っていたなんて…。

思わず脱力せずにはいられない。


「な、なんだかよくわからないが、囲まれちゃ仕方ねぇな」

スリの一人がそう言って腰に下がっていた刀を抜き取る。

「相手は弱そうなガキに丸腰の男だ!
さっさと片付けてズラかろうぜ!」

そう叫んだ男(仮にスリAと呼ぼう)は刀を構えると拙者に向かって突進してきた。
他の二人はチサの方へ行ったようだ。

『万斉さん!ちょ!何か武器になるもの持ってませんか⁉︎』

スリ二人の振り下ろされる刀をピョンピョンと躱しながらチサが拙者に向かって叫んでいる。

一方で拙者もスリAの攻撃を軽い身のこなしで避けながらチサの方を見やる。

「…」

『あっれー?万斉さん?聴こえてないのかなー?いや、でも絶対コレこっち見てんじゃん?』

「…」

『万斉さーん!ちょっ!聴いてるゥウウウ⁉︎』

「…」

『……難聴ジジイかよ』(ボソッ)


相変わらずにスリAの攻撃を躱しながら咄嗟に身を屈め、小石を拾い上げ、

ビュンッ

『あでっ!!』

チサの額にクリーンヒット。

『聴こえてんじゃん!万斉さんのイジワルゥウ!!』

「お主の蒔いた種だろう。自分でなんとかするでござる」

『なんか万斉さん冷たくないですかー⁉︎』

相変わらず喚き散らすチサに思わず溜息が漏れる。

そりゃあ今日1日散々振り回された挙句、あれほど必死になって財布を探してた理由があんなしょうもない事だったとなってはいくら拙者だってイラつくでござる。

あれほど短気な晋助が今まで耐えられたのが不思議でならない。


「オイお前!そんな余裕ぶっこいてて良いのかよ⁉︎」

あまりにも目の前の敵である自分に意識が向けられていなかった事にスリAは腹を立てているようだ。

怒りで先程より大分剣筋が乱れてきている。

「拙者は今イライラしているでござる。とっととその奪った財布を全部置いてここから立ち去れ」


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