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隻眼男と白兎

第24章 計画はご利用的に!!



それからどのくらいの時が流れたのか。

先程スリにあった近くの場所の周辺から人通りの多い場所、薄暗い裏路地まであらゆる場所を探したが、やはりそれらしい男の姿はない。

「チサ、残念だがもう財布は諦めるでござる」

昼頃に出かけたはずが、もう日は傾き空は茜色に染まり始めている。

拙者の言葉にチサは歩きながら情けない声を上げた。

『うぅぅ〜、財布ぅう』

「そんなに大切な財布だったでござるか?」

『うん…。あの財布には私の大事な……』

全部言い終わらないうちにチサがピタリと立ち止まった。

「どうしたでござるか?」

問い掛けると、チサは人差し指を立て口の前へ持ってくる。

訳のわからない行動に拙者が首を傾げながらチサの視線の先に目をやると、

そこには怪しげな男が三人、
何やら身を寄せ合ってヒソヒソと話していた。


「今日も大収穫だったぜ!」

「俺も俺も」

「さて今日の成果を分け合うか」

そう言って男たちは各々の懐から

大量の財布を地面へと広げた。


その瞬間、

『あーーーー!!!私の財布ゥウウ!!』

共に物陰から様子を伺っていたはずのチサが男たちの前へ叫びながら飛び出していく。

男たちはその大きなチサの叫び声にビクリと肩を震わし、一斉にこちらへと身を向けた。

「げ!お前!あの時の馬鹿そうなガキ!」

『馬鹿でもガキでもないわァア!
馬鹿はお前だ!この盗人めがァアア!』

「やべぇ!逃げるぞ!」

一人が声を張り上げ、それにつられて残りの男達もチサから背を向け走り出そうとするが、

そうはさせぬ。


チサとは逆方向へ逃げようとする男達の前に、今度は拙者が立ち塞がる。

「その金は拙者達が汗水たらして稼いた金でござる」

というか、主に拙者が副業で稼いだ金と言っても過言ではない。

そんな拙者の血と汗の結晶を、どこの馬の骨ともわからぬ奴らに安安とくれてやるのは正直腹が立つのでござるチクショー。


『そうです!その財布には大切な…

大切な、お手製高杉さんストラップが付けてあるんだから早く返せこのヤロー!』

「「「「は?」」」」

チサの、想像もしていなかったその発言にスリ達も拙者もポカンと口を開ける。


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