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隻眼男と白兎

第24章 計画はご利用的に!!



その後…

結局、その店で何時間も悩んだ挙句、遂に決まらず、今日一日じっくり考える事に決めた。


『ごめんなさい、力になれなくて…』

何故か申し訳なさそうに謝るチサに拙者は微笑を浮かべ、

「チサが気に病むことはないでござるよ。
晋助への贈り物はまた明日の早朝にでも買いに来るでござる」

そう声をかけると、今度は嬉しそうに、

『素敵なプレゼントが思いつくといいですね!』

そう言って笑った。

『あ!じゃあ私お会計してきますね!』

そのまま笑顔でパタパタとレジへ走っていくチサ。

本当にコロコロと表情が変わる奴だ。

そんなチサを見送り、店内をウロウロしていると、

チサはすぐに戻ってきた。

『万斉さん…』

神妙な面持ちでそう今にも泣き出しそうな声を出したチサは顔面蒼白だった。

「どうしたでござるか?」

『……が……い…です……』

「ん?」

聞こえずらい声に拙者が耳を傾けると、

『財布がないんですよォオオオ!!』

キーンッッ

今度は鼓膜が破れそうなほど大声で叫びやがった。

『なんで⁉︎どうして⁉︎さっきまであったのに⁉︎』

耳を抑える拙者など完全に見えていないようで、その場でオロオロしながらしきりに喚いている。

さすがに周りの目も痛くなってきた。

店内にちらほら見える客が何か何かと此方に視線を送っている。

「落ち着くでござる」

拙者が慌てふためくチサを落ち着かせようと声をかけると、チサは真顔で、

『私、落ち着いてます』

と静かに言った。

そして、


『だから落ち着いてタイムマシーンを探せェエエエエ!!』

「落ち着いてないだろ!」

ビシッ

『あうっ』

怒りのチョップを食らわせた。

そのまま頭を抱えるチサを有無を言わさず襟首を捕まえて店の外へと引きずっていく。


その途中で

『万斉さん万斉さん!コレ!首!締まってます!落ち着くどころか永遠の沈黙に入りそうです!!』

とかチサが訴える声が聴こえたが、


全無視してやった。


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